スタートは「どこから手をつけたらいいのか分かりません」からでした

2023年5月6日業務改善,介護ロボット導入

2019年 ベテランスタッフの大量退職

 介護ロボットによる業務改善活動のきっかけは、勤務10年以上のベテランスタッフの大量離職により「人が足りません、どこから手をつけたらいいのか分かりません」という切実な相談からでした。

厚生労働省老健局が発行している業務改善の手引きはよくできていて、こちらを参考にして改善活動を行っていこうと提案しました。

厚生労働省 介護分野における生産性向上について

2020年 業務改善の手引きを参考に改善活動を始めようとしましたが

まずはタイムスタディでつまづきました

最初のつまづきはタイムスタディでした。このガイドラインには「業務時間見える化ツール」もあり、業務時間の見直しから始めることにしました。実はこの作業は2010年頃にも実施しようとチャレンジし、できなかったことでもあります。

もう一度チャレンジしてみましたが、この労力を自分たちで捻出することはできませんでした。

ユニットケアへの取り組みも課題の一つでした

対象施設は、市内初の全室個室の新型特別養護老人ホーム(ユニット型)でした。当初からユニットケアへの取り組みも行ってきましたが、こちらもなかなかうまくいっていませんでした。

 開設当初はユニットケア研修に力を入れ、有望なリーダーを研修に行かせるものの、結局は燃え尽き辞めてしまうという繰り返し、自分たちの施設ではサービスの質の向上はできないという意識も生まれてきていました。

魅力ある職場づくりのための実践

対象施設では、内部研修も充実させ、理念の浸透にも取り組んでいました。それでも思ったようにいかず、大量の離職者が出てしまいました。これはこの施設だけの特別な事ではなく、多くの施設で起こっていることだと思います。うまくいく施設とうまくいかない施設、どこが違うのか、私にとっては大きな関心ごとでもありました。

介護ロボットの開発も本質的な課題解決に至っていない(H29年の開発)

平成27年から取り組んだ介護ロボットの開発ですが、やればやるほど現場との乖離が生まれてきました。というよりは、本当の課題に近づいたという方が正確かもしれません。介護ロボットニーズシーズ連携協議会での活動では、直接介護より間接業務に時間が取られていることも分かりました。

生産性向上に取り組み始めたきっかけの一つ

平成29年度ロボット介護機器開発事業での取り組みを説明していた時に、多くの施設長から言われたことも今回の活動の原動力になりました。

生産性向上に舵を切ってみたものの

令和元年の新経済・財政再生計画改革工程表2019では、医療・サービス福祉改革としてロボット・IoT・AI・センサーの活用が掲げられました。令和元年第14回経済財政諮問会議では、3:1でのサービス提供が話題になりました。対象施設では当時、1.8:1での運用でしたので、この話を投げかけたところ、人を少なくして安全性はどうするんだとやはり多くの反発を頂戴することとなりました。

このページのまとめ

人員不足をなんとかしたい、サービスの質を上げたい、持続可能な介護施設運営をしたいというのは、多くの経営者が考えているところだと思います。

うまくいっているところもあるのに、どうして自分のところはうまくいかないんだろう、何が違うんだろう

この疑問を抱えながら、取り組み始めたのが、令和2年(2020年)でした。